SNSなどで目にする画像や動画の真偽を見極めるための視点と確認方法
情報があふれる現代において、私たちは日々、さまざまな情報に触れています。特にSNSやオンラインニュースでは、写真や動画が添えられた情報が多く見られます。視覚的な情報は非常に強く印象に残りやすく、瞬く間に広がる特性があります。しかし、中には意図的、あるいは偶発的に誤った情報が含まれている場合も少なくありません。
情報の真偽を見極める能力は、ご自身だけでなく、ご家族や大切な人たちを守るためにも非常に重要です。ここでは、特にSNSなどで目にする画像や動画の真偽を判断するための具体的な視点と確認方法についてご説明いたします。
1. 発信源の確認を習慣にする
画像や動画を見る際に、まず確認していただきたいのは、その情報が誰から発信されているかという点です。
- 公式アカウントや信頼できるメディアか: 公的機関、大手メディア、専門家など、情報の信頼性が高いとされるアカウントやウェブサイトからの情報であれば、一定の信憑性があると考えられます。
- 個人アカウントの場合: 個人が発信する情報すべてが信頼できないわけではありませんが、発信者の過去の投稿内容や、専門性などを確認する視点を持つことが大切です。普段からデマを拡散したり、過激な主張を繰り返したりしているアカウントは、注意が必要です。
- 匿名アカウントや情報元が不明な場合: 情報源が明記されていない、あるいは匿名で発信されている場合は、特に慎重な判断が求められます。
2. 画像や動画そのものに不自然な点がないか確認する
次に、共有されている画像や動画を注意深く観察する習慣を持ちましょう。
- 画質や色合い: 不自然に鮮明すぎたり、逆に極端に粗かったり、不自然な色の補正がされていないか確認します。加工された画像は、時に細部に不自然な影や光の反射が見られることがあります。
- 写っているものの様子: 被写体(人物や物体)の形が歪んでいないか、肌の質感が不自然でないか、影の方向が複数あったりしないかなど、細部まで確認してみましょう。複数の要素が合成されている場合、背景と被写体の境界線が不自然に見えることがあります。
- 背景に手がかりがないか: 看板の文字、写り込んでいる日付、季節感、天気、建物など、背景にある情報が、動画の主張と一致しているかを確認します。例えば、冬の動画なのに緑豊かな木々が写っている、といった矛盾に気づくことがあります。
- 古い情報ではないか: 過去に撮影された画像や動画が、あたかも最近の出来事であるかのように使われるケースもあります。見覚えのある画像であれば、以前に見た情報ではないかと思い出してみることも有効です。
3. 画像の逆引き検索(リバース画像検索)を活用する
スマートフォンの基本的な操作ができれば、誰でも簡単にできる効果的な確認方法の一つに「画像の逆引き検索(リバース画像検索)」があります。これは、画像を使ってその画像がインターネット上で他にどこで使われているかを検索する機能です。
スマートフォンのブラウザで試せる方法の例:
- 確認したい画像を保存するか、画像を長押しして「画像を検索」のオプションが表示されるか確認します。
- Google Chromeなどのブラウザで「Google 画像検索」と検索し、サイトを開きます。
- カメラのアイコンが表示されている場合はそれをタップし、スマートフォンに保存した画像をアップロードするか、画像のURLを貼り付けて検索します。(ブラウザによっては、PC版サイト表示に切り替える必要がある場合があります。)
- 検索結果には、同じ画像や似た画像が掲載されているウェブサイトが表示されます。いつ、どこで、どのような文脈で使われていたかを確認することで、情報の真偽や元々の意図を推測する手がかりが得られます。
この検索により、その画像が過去に別の文脈で使われていた、あるいは加工されていたことが判明する場合があります。
4. 複数の情報源と比較する
一つの情報だけで判断することは避け、複数の情報源で内容を比較することが非常に重要です。
- 大手ニュースサイトや信頼できる報道機関: 同じ内容が、他の信頼できるメディアでも報じられているかを確認します。主要なメディアが全く報じていない、あるいは内容が大きく異なる場合は、その情報の信頼性について疑問を持つべきです。
- 公式サイトや公的機関の発表: 例えば、災害情報や健康に関する情報であれば、政府機関や自治体、専門機関の公式サイトで正式な発表があるかを確認します。
5. 感情を揺さぶる情報には特に注意を払う
怒り、悲しみ、不安、あるいは驚きといった強い感情を呼び起こすような内容の画像や動画は、瞬く間に広がりやすい特性があります。しかし、そうした情報は、時に冷静な判断を妨げ、誤情報であっても信じ込んでしまいがちです。
- 「これはひどい」「信じられない」といった感情が先に立った場合は、一旦立ち止まり、深呼吸をして、先ほどご紹介した確認方法を実践してみましょう。
- 「拡散希望」と強く呼びかけるような投稿は、特に慎重な姿勢で臨むことが大切です。
まとめ
情報の真偽を見極めることは、現代社会を生きる上で不可欠なスキルです。日々の情報に触れる中で、上記のような「確認する視点」を意識するだけでも、情報の判断能力は大きく向上します。
最初は手間だと感じるかもしれませんが、慣れていくうちに自然と情報の真偽を見極める力が身についていきます。ご自身が正しい情報を見極め、それを適切に活用できるようになることは、ご家族や周囲の大切な方々に正しい情報を伝え、共に安心して生活するための第一歩となります。